はな工房 マスイ製作所さま
事業内容 | 室内用アイアン手すりの制作 |
所在地 | 大阪府岸和田市 |
依頼概要 | 既存ホームページのリニューアル |
URL | https://hana-koubou.jp/ |
制作時期 | 2023年4月 |
制作期間 | 6か月 |
担当内容 | ディレクション、デザイン、コーディング、 ライディング(一部)、Wordpress構築(オリジナルテーマ) |
完成デザイン
スペースの関係上、パソコン用とスマートフォン用のデザインのみを掲載していますが、
KENS WEBWORKSでは、これら2つ加えて、タブレット用のデザイン制作も基本サービスの中に含んでおります。
Webサイト制作の経緯とポイント
はな工房さまは、大阪府岸和田市で階段や吹き抜け用などの室内用アイアン手すりを専門に製作をされている工房です。もともとアイアン製品全般をオーダーメイドで製作されていたのですが、10年ほど前から室内用のアイアン手すりに特化され、現在に至ります。1つ1つの製品を自社工房で手作りされているのですが、製品のみならず、お客様への対応、塗装、取り付けなど全てに工程において、こだわりを持って取り組んでおられます。 ご家族で事業を行われており、皆さんとっても仲が良いのが印象的です!
今回はホームページのリニューアルをご希望ということで連絡をいただきました。話をお伺いしたところ、 「家を建てる時にアイアン手すりを取り入れることがここ数年で一般的になってきました。それに伴って室内用手すりを手掛ける業者も増えてきましたが、製作される手すりのうちの多くは型の決まった汎用製品です。対して我々は一つ一つの手すりを職人が手作りで製作しているのですが、現在のホームページではその魅力を上手く表現することが出来ていません。今回のリニューアルを通して、質の良いアイアン手すりを探されている個人さま、業者さまに向けて、我々が製作する手すりの魅力を発信したいのです」とのことでした。
リニューアルの方向性について
はな工房さまは、オーダーメイドでアイアン製品全般の製作を始められてほどない2008年からご自身たちでホームページを作られていました。2008年といえばiPhoneが日本で発売された年ですので、スマホなんていうものがまだ存在しないインターネットの黎明期。その後、2014年には新たに手すりに特化したホームページも立ち上げられたのですが、その施工事例ページには膨大な数の事例が掲載されています。
「新規注文のほとんどが自社サイト経由です」とのことですので、オーダーメイド製品を製作されていた2008年からコツコツと信頼を築き上げてきたことが伺い知れます。
ここで整理すると、お話をいただいた2022年8月の時点では、
①2008年に立ち上げたオーダーメイドアイアン製品全般のホームページ
②2014年に立ち上げたアイアン手すり専門のホームページ
の2つをお持ちで、集客のほとんどを②で行っているという状況でした。
アクセスの多い②の現行サイトをリニューアルすれば、売上にダイレクトに反映される可能性が高いです。ただホームページのリニューアル作業は、見出しやコンテンツ等といったサイト内要素の大幅な変更が伴うため、多くの場合において、Googleでの検索順位に大きい影響を与えます。順位を上げることが出来れば良いのですが「リニューアルを行ったら圏外に飛んでしまった」という様なことはよくある話。恐ろしや・・・。
メインサイトのリニューアルはSEO的には少しハイリスク・ハイリターンなので、避けることが出来るのであれば避けたいところ。 特にはな工房さまの場合は、現行サイトでは既にガッツリ上位表示が出来ており、売上の生命線となっていました。
対して2008年に立ち上げたオーダーメイドアイアン製品全般を紹介するためのホームページは、現在は特に活用が出来ていない状態でした。
これらの状況から、「まずは①のホームページをリニューアルし、②現行サイトと同時進行で運営しながら徐々にコンテンツを移行していく」という方向性で進めていくこと決定しました。
課題点の洗い出しと制作のポイント3点
方向性が決まったところで、リニューアルする内容について考えていきます。 現行のホームページを見させていただいたところ、大きく3つの課題がある様に感じました。
①他社の汎用製品との差別化が出来ていない
まずは今回リニューアルする決断をされた一番の理由ですね。室内用のアイアン手すりは楽天などのECサイトでも販売されてはいるのですが、冒頭にも挙げた通り、これらの製品は、はな工房さまが手掛けられる製品とはデザインやクオリティの面から全くの別物です。ですが残念ながら、サイト訪問者が価格のみで比較して他社製品を選ぶ、ということが多く起こっていまっている様でした。
価格競争の土俵から降りるためには、サービス内容やこだわりなどの価格以外での優位点を言語化し、ホームページ上で表現していくことが大切です。 話をお伺いしたり、工房での制作の様子を見学させていただく中で気が付いたはな工房さまの強みをお伝えさせていただきました。色々あるのですが、ここでは2つ挙げたいと思います。
1つ目は、セミオーダーメイドでの手すり製作が可能だという点。ECサイトに売っているような既製品はデザインもサイズも手を加えることが出来ませんが、はな工房さまでは、掲載している製品のデザインを組み合わせたり、大きさを少し変更したり、といった細かい加工が可能です。
2つ目は、オリジナルデザインの手すりが製作可能だという点。はな工房さまでは、こちらの写真の様に、持ち込んだイラストやイメージを元に手すりを製作することが可能です。当たり前の様にオリジナルデザイン手すりを製作していらっしゃいますが、実はこれは、「お客様の望むものを汲み取ることの出来るコミュニケーション力の高いデザイナーさんがいて、なおかつ自社で職人が製作を行っている工房」という条件を満たしていなければ難しいこと。
競合調査の過程で多くの手すりの製作業者のホームページを見ましたが、お客さんの希望に合った形に変更を加えた室内用アイアン手すりを一般人が購入可能な価格帯で提供している業者は、はな工房さま以外に見当たりませんでした。
現行のホームページでは、そういった自社工房ならではの魅力を充分に伝えることが出来ていない様に感じたので、「セミオーダーメイド」と「オリジナルデザイン」の2つを既存のラインナップとは別の製品カテゴリとして独立させ、施工事例や料金体系などを掲載したページを作成することを提案させていただきました。
②訪問者が探している「製品カテゴリ」にたどりつくための経路が複雑
2つ目にお伝えさせていただいたのは、自社製品の分類に関することです。 まず現行のホームーページでは、製品のカテゴリトップに「デザイン(装飾タイプ、ステンドグラスタイプ等)」と「用途(階段用、吹き抜け用)」が並列で並んでおり、サイトを訪問した人が自分が探しているものがどこにあるのか分かりにくいという問題点がありました。
「気に入った手すりを見つけたので、それに合わせて間取りを決める」という思考の流れは、家を建てる上でなかなか考えにくいです。一般的には、「(例えば階段に)手すりを設置することが既に決まっていて、家や階段の雰囲気に合うデザインの手すりを探す」という流れの方が自然ですよね。であれば、製品ページへの最初の導線は「用途」であるべきです。
そのことを踏まえ、それまで曖昧であった製品カテゴリをを大きく「階段用」「吹き抜け用」「階段の壁用」「玄関用」の4つに分類すること、そしてトップページから既製ラインナップへの入り口をその4つに絞ることを提案させていただきました。
現行サイトのナビゲーション
リニューアルサイトのナビゲーション
③訪問者のシチュエーションに合った「施工事例」にたどり着くのが難しい
3つ目は、施工事例についてです。「施工事例」や「お客様の声」などのコンテンツは、第三者的な要素が多く盛り込まれますので、信頼獲得のためには是非とも上手に活用したいですよね。
はな工房さまでは、今までに800件以上の手すり製作を行ってこられたこともあり、現行ホームページでも既に施工事例を多く掲載されていたのですが、正直ごちゃごちゃ(失礼!)という印象でした。そもそもの製品カテゴリ分け自体が曖昧だったため、どのページにに何の事例が掲載されているのかが分かりにくく、ホームページの訪問者がそれぞれのシチュエーションに合った施工事例にたどり着くのが難しい状態だったのです。
打ち合わせの段階で「製品カテゴリ」と「デザイン」の分類をしっかり行うことが出来たので、あとはそれをどう分かりやすく見せるかです。(つまりこちらの問題です!)
はな工房さまの手掛けるアイアン手すりには「階段から吹き抜けまでつながった手すり」「ステンドグラスがデザインされた装飾手すり」など、明確な線引きが難しい製品が多くあります。これに「オリジナルデザイン」や「セミオーダーメイド」も加わるので、パターンは無限大!事例の分類も、型番製品の様に簡単にはいきません。
あまり関係のない事例をたくさん表示しても邪魔になるだけだし、あまりにピンポイント過ぎては参考にならない。
「サイト訪問者が自分が求めている事例をなるべくピンポイントで表示させるにはどうすれば良いか?」について色々と考えました。制作サイドとしては、この施工事例の見せ方が今回の制作で一番の頑張りポイントでしたが、結果として塩梅が程良い感じの絞り込み検索機能を実装した施工事例ページを作ることが出来ました。
現行サイトの施工事例
リニューアルサイトの施工事例
施工事例の一括更新システム
これからはな工房さまには膨大な量の施工事例を登録していっていただきますが(遠い目)、時短のために施工事例の一括更新システム(ファイル)をご用意させていただきました。 施工事例の登録は通常、ホームページの管理画面に入って事例の登録画面へ進み、製品のカテゴリや用途、価格といった項目を1つずつ手入力で行っていただく必要があります。大事なコンテンツと分かってはいても、件数が多いとなかなか気が進まない作業ですよね。ですが今回ご用意させていただいたシステムファイルを利用することにより、情報を事前に入力した手持ちのエクセルファイルから施工事例を一括でアップロードすることが可能になりました。作業時間としては、1/3~1/10くらいまで短くすることが出来るのではないかと思います。
今回で基本的なシステムは出来上がりましたので、よっぽどイレギュラーな内容でなければ、カスタマイズして他のクライアント様にもお渡しすることが可能なはずです。
リニューアル後の検索順位について
サイト公開が終わったら、サイトマップというものを制作し、Googleへ提出します。今回は運良く、それまで圏外であったメインキーワードでの検索順位が、公開後1週間ほどで一気に2ページ目に! Googleでの検索順位は、上位表示するための要素がブラックボックス的なところがあるので「こうやれば上位表示が出来る」と言うのは難しいです。ですが個人的には、被リンクサービスを買ったり、何に使われていたのか分からないドメインを購入して運用するといったSEOテクニックに頼るのは、あまり良くないのではないかと考えています。そんなことよりも、
- 中身のあるページをしっかり作る
- 画像やフォントを最適化し、ページ表示速度が遅くならない様にする
- タイトルやAltタグなどをきちんと設定する
など「サイト訪問者にとって実際にメリットとなるポイント」を意識してサイトを制作することが、上位表示への一番の近道なのではないかと考えています。
一方で今回は、リニューアルを行ったサイトのドメインエイジ(ドメインを取得してから運営してきた期間)が長かったという事実があります。ドメインエイジが検索順位に影響があるかどうかは人によっても意見が分かれるところですが、個人的には、「正しくその事業を行うために運用されてきたドメインである場合に限って上位表示に働く」と考えています。はな工房さまは、アイアン製品を受注するホームページのためにドメインを取得し、以後15年もの間コツコツ運用を続けてこられました。今回はその事実が上位表示にもプラスに働いたのではないでしょうか。
いずれにせよ、リニューアル直後の順位としては上々です!とはいえ、順位が安定するまではある程度の期間を要しますので、当面の間は注意して見ておく必要があります。KENS WEBWORKSでは、運用、管理までお任せいただいているクライアント様に関しては検索順位のチェックを1日1回行っているので、何か大きい変化があればすぐにお伝えすることが可能です。
全体を振り返って
はな工房さまからサイト制作の話をいただいたのは2022年の8月。間に作業がストップした期間もあったため、実際の制作期間としては、6か月程度でしょうか。今回は、ホームページリニューアルだけでなく工房としての事業の方向性を決定する重要な機会として考えておられました。ホームページ制作の実務作業に取り掛かる前に事業の方向性に関する打ち合わせを入念に行ったため、完成までにかなりの時間を要してしまいました。ですがその分、工房の方向性や強みを反映したホームページをお作りさせていただくことが出来たのではないかと考えております。
はな工房のスタッフの皆さまは本当にお人柄もよく、「そこまで考えているの?」というくらいお客さんのことを考えていらっしゃいます。家を新築し、階段や吹き抜けにアイアン手すりを取り入れることを考えている方がいらっしゃれば、是非はな工房さまに依頼することを検討なさってください。 半年以上もの間、深く関わらせていただいた私が自信を持ってお薦めします!
改めてはな工房の皆さま、この度はご依頼いただきありがとうございました!